郵便配達のおじさん

 二人目は郵便配達のおじさんである。残念ながら、名前を聞きそびれてしまい、その後は聞きにくくなってしまった。ということで、いまだに知らない。ジョンということにしよう。


 ジョンは、なんとコーネル大学の卒業ということで、高学歴である。「子どもができてね、彼らのために、この町に残って、郵便局につとめることにしたんだ」。でも、さすがに関心の幅が広く、郵便物を届けに来てくれた際に、日本のことや大学のことなど、いろいろ聞いてくる。コメントも鋭い。



 町中で見かけたときなどは、必ず手をふってくれる。なんだか、うちのファミリーにとても親近感を覚えてくれたようだ。


 震災後も、だいぶ心を痛めてくれたようだ。「東京に知り合いの牧師がいてね、さっそく義援金を送ったよ」。日本に帰る僕らのことをあれこれ心配した上で、ちょっと目をうるませて、握手の手を差し出してくれた。郵便屋さんに握手を求められるというのも、おそらく二度とないだろう。


 何だか、こういう感じの人たちとイサカではたくさん出会った気がする。別にふつうの人たちである。僕のアメリカ社会イメージをつくっているのは、こういう人たちだ。