編著と共著 自己解説

 ここいらで、ちょっとまとめて本の宣伝を。昨年から今年にかけて、編著・共著で本を続けて出している。前にもちょろっと書いたが、もう一度全部あわせて自著解説をやってみたい。


 

政治学をつかむ (テキストブックス[つかむ])

政治学をつかむ (テキストブックス[つかむ])

これは政治学の初心者向けの教科書である。ポリティカル・サイエンス系の教科書には定評のあるものが少なくないが、この本はむしろ政治思想・政治史・地域研究の専門家が集まっている。「300年の政治学」がうたい文句だが、まあ、こういうのもあっていいのではないだろうか。


社会統合と宗教的なもの ― 十九世紀フランスの経験

社会統合と宗教的なもの ― 十九世紀フランスの経験

ある時期から、二種類の勉強会をすることになった。二つとも若手中心で、僕はいわば場所を準備するのが役目の「場所貸しおやじ」であった。一つはフランス政治哲学系(F系とよぼう)で、宗教学、哲学、社会学などの研究者がそろった。東大でも文学部や駒場、あるいは教育学部など、いろいろな組織からの集まりで、一橋など他大学の人も多かった。渋沢・クローデル賞やサントリー学芸賞を連続受賞した伊達聖伸さんや、近頃フーコー論(『ミシェル・フーコー 批判的実証主義と主体性の哲学』)を出された手塚博さん、あるいはトクヴィル論(『トクヴィルの憂鬱』)を出された高山裕二さんなど多士済々の勉強会であった。この本は、その勉強会のメンバーを中心に企画されたものである。


実践する政治哲学

実践する政治哲学

この本は間もなく出るが、もう一つの勉強会、こちらはどちらかというと英米系の政治哲学(分析哲学やイギリスの批判的社会理論など)研究者が中心であったのでA系としよう。F系に劣らずA系も俊英ぞろいであり、やはり最近テイラー論(『世俗と宗教のあいだ』)を出された高田宏史さんや、近刊が間もなく出る予定と聞く山崎望さんなどがメンバーであった(今回は、最近本を出されたor出す予定の方のみ名をあげた。こぼしがあるかもしれない、ごめん)。この本も実に多くの大学出身者が結集しており、まぜてもらっていろいろ勉強になったなあと、あらためて思う。喫煙など具体的なテーマを扱った論文が多いのが特徴で、僕も教育について書いている。


デモクラシーの擁護 ―再帰化する現代社会で―

デモクラシーの擁護 ―再帰化する現代社会で―

この本はあらためて繰り返すまでもないけど、5年ごしで書いた本である(途中、僕が怠慢をこいていただけだけど)。企画段階でベック/ギデンズ/ラッシュの『再帰的近代化』のような本に、とちょろっと言ったところ、本のスタイルだけでなく、中身までがこの本を強く意識したものになってしまった。


どれも思い入れのある本である。多くの読者に恵まれるといいなあ、などと宣伝してみる。いやはや、はやく自分の次の単著を考えないと。