夏の終わり

 まあ、いざ当日というのは、だいたいにおいてたんたんと進むものだ。子どもたちはいつもと同じように遊び、お母さん同士は残された品物の処理、僕はフランシスコのレンタカーの返却を手伝う。空港に行っても、みんないつもと変わらない。一緒に写真をとって、お別れの言葉をいって、そして搭乗口に姿が消えたとき、はじめて喪失の実感がわいてくる。


 涙目になったDaichiを見て、ああこの子も別れの悲しみがわかる歳になったのだと思う。それほど悲しいと思える友達ができたこととあわせて、この子の成長にとっていま大切な時期を過ごしていることを感じる。


 その後は夕方、日本思想史の酒井直樹先生のお宅のバーベキュー・パーティーにうかがう。同じくコーネルを代表する日本思想研究者のヴィクター・コシュマン先生をはじめ、コーネルの多くの日本研究者の方々とお会いすることができた。コーネルのアカデミック・コミュニティにようやくアクセスできた気がして、多いに発奮する。


 我が家にとっての長い夏休みが終わりつつある。さあ、いよいよ新学期だ。