おわかれ

 その日がいつか来るとは知っていたが、いざその日になると実感がわかない。せっかく仲良しになったお隣の一家が明日、スペインに帰る。


 わかれを惜しむように、DaichiとSatoは毎日のように出かけては、一緒にかけまわっている。この二ヶ月ほど、お隣の3人のお子さんとあわせて、計5人、いつも一緒にいて遊んでいた。ときには一緒に勉強したり、ときには一緒に公園に出かけた。


 しっかりものだけと時に涙もろいおねえちゃんのマリナちゃん、のんびりしたリカルドくん、すばしっこくていつも生き生きした眼をしているカルメンちゃん。


 今日は最後ということで、午後から近くの州立公園に出かけて、水浴びをし、夕暮れまで遊んだ。お互い片言の英語で、それにしても楽しそうに走り回る。最後は少し感傷的になっていたマリナちゃん以外は、明日がおわかれということをどれだけ実感しているのやら。


 ご両親のフランスシスコさんとカルメンさんは、質実剛健、しっかりしているけど子煩悩で親切。いろいろ問題をかかえているにもかかわらず、つねに明るい二人からは、親としても学ぶところが多かった。


 明日からは、Satoがとことこ隣にでかけても、この一家はいない。キャーキャーいって走り回る子どもたちの声を聞けなくなると思うとさびしい。