オバマ就任演説

 というわけでオバマである。やはり、オバマの就任演説について触れないわけにはいかないだろう。


 正直言って、最初に聞いたときは、あまりピンと来なかった。2004年の民主党大会以来のオバマの演説にはほんとうにすばらしいものが多く、そういったスピーチには、ここぞという盛り上がりがある。それと比べると、今回の就任演説は、ややおとなしいというか、あまり新鮮みがないように感じられたのだ。


 が、まあ、演説を読み返してみて、やはり格調が高いことに感心せざるをえない。'common purpose'や 'common good'、あるいは'the price and the promise of citizenship'などといった言葉が次々に出てくるのは、やはりすごいなあ、と思う。


 やはり鍵は'the new era of responsibility'なのであろう。'hope'についても'virtue'とセットになっている。一人ひとりのアメリカ市民に、アメリカ社会と世界に対する責任を強調している。希望と責任とは表裏一体ということなのだろう。


 ちょっと気になるのは、やはり戦争のメタファーが頻出すること。テロとの戦いはもちろん、今のアメリカが直面している困難との取り組みもまた戦いなのであろう。コンコードの戦い、ノルマンディー上陸作戦、ケサンの戦いファシズムとの戦い、共産主義との戦い。ゲティスバーグにアーリントン、、、演説は、戦争とその記憶を想起させる言葉が無数にちりばめられている。う〜む。


 でも' when imagination is joined to common purpose, and necessity to courage'なんてセリフはやっぱりかっこいい。まあ、歴史に残る演説になるのだろうな、と思う。