スピーチ

 リスニングの勉強と言うことで、『名演説で学ぶアメリカの歴史』(研究社)という本のCDを聞いている。スピーチというのは、多くの人に聞かせる以上、リズム感がよく、わかりやすいものが多い。リンカーンケネディキング牧師などはすぐに思いつくが、このCDにはずいぶんとたくさんのスピーチが収録されていて、それらを順に聞いていくと、アメリカ史のおさらいになる。近年のアメリカ史研究のトレンドを踏まえ、政治家ばかりでなく、マイノリティや女性、さらにフォークナーやヴォネガットなど作家のスピーチも多い。


 それにしても、このようにスピーチを並べるだけで歴史を語れる、というのは、やはりアメリカがスピーチの国だ、ということを思い起こさせる。日本で同じような企画をしようとしても、なかなか適当なスピーチがないだろう。


 歴史に残るスピーチだけあって、レトリックが優れているだけでなく、中身もなかなか深い。アメリカの政治文化の根底にある「何か」がそこには感じられる。


 ただ一点残念なのは、2006年に刊行されたこの本、最後はヒラリーさんのスピーチになっているんだよな。今となってみると、2004年の民主党党大会のオバマ演説を収録してくれた方がよかったかも!?