竹内好

 今日も試験監督。僕以外に2人の補助がついたが、そのうちの一人は僕より年配の方で、どうやら理系の人らしい。監督中に、紙に一生懸命図や数式を書いている。監督としては、あまり頼りになりそうにない。しょうがないので、自分でせっせと見て回る。ははあ、だいぶみなさん苦労しているようで。なんだか、声にならないうめき声のようなものが聞こえてくるような。


 といいつつ、僕も、昨日の丸川さんの本に刺激され、読み始めた竹内好の『日本とアジア』のことがあたまにちらつく。どうもこれまで敬して遠ざけてきたこの人の書くものに、新たな魅力を感じるようになった。「ヨーロッパがヨーロッパであるために、かれは東洋へ侵入しなければならなかった。それはヨーロッパの自己解放に伴う必然の運命であった。異質なものにぶつかることで逆に自己が確かめられた。(中略)抵抗することによって東洋はますますヨーロッパ化する運命にあることが見とおされていた。東洋の抵抗は、世界史をいっそう完全なものにする要素でしかなかった」。う〜む、すごい文章だ。