グランド・ツアー

 S市民大学での講義で、「グランド・ツアー」の話をした。ヨーロッパにおける貴族の子弟の古典教育の締めくくりとして、ローマを訪問するという、あれである。日本の修学旅行の原型みたいなものです、ちょっとスケールは違いますが、というと、聴講生のみなさんにも関心をもっていただいたようだ。


 講義の本筋とは離れたテーマだったが、反応がよかったので、興にのって若き日のギボンがローマの遺跡を前に、『ローマ帝国衰亡史』執筆の決意をしたという例の話とか、ゲーテの『イタリア紀行』の話など、話はどんどんそれていく。


 そこからポーコックの話になり、さらに『ローマ史論』へと話は展開していった、、、、


 現代版の「グランド・ツアー」って、どこに行けばいいのだろうか。僕の場合、さしずめ、トクヴィルがたどったアメリカ訪問地をめぐるツアーなんて、いつかやってみたいな、と思う。