最近読んだ小説

 このブログの筆者は(僕のことだけど)、文学青年でも、音楽青年でも、哲学青年でもない(そもそも青年でない)。


 でもまあ、最近、読んで面白かった小説について少々。



 長島有については、大江健三郎が自ら創設した賞を受賞した作家として知られるが(知られているらしいが)、文春文庫に収録された『猛スピードで母は』と『サイドカーに犬』はとても面白かった。『サイドカーに犬』は、父親がつれこんだ愛人と娘の、ある種の友情とも何とも言い難い関係を描いた小説である。この愛人である「洋子さん」が何とも言えず魅力的である。



 もう一冊読んだのが、舞城王太郎である。このブログに書き込まれたEchizenさんのおすすめだが、たしかにこの人の文章は読ませる。小説の舞台は福井県にあるとされる西暁町。中上健次紀伊ものに匹敵する「福井サーガ」を展開するとされる小説家である。彼の『煙か土か食い物』を読み始めたが、なんだか小説世界に引きずり込まれる。この人の描く世界、福井か、さもなければ調布というのがおかしい。


 小説家であれ、なんであれ、一つの世界を描ききってしまえば勝ちである。今後も、面白い作品に出会いたい。