福井県嶺南地方

 北海道から帰った後、岩手に行く前に調査に出かけたのが福井県の嶺南地方である。


 嶺南地方とは、旧国名でいうと若狭に属する諸地域と敦賀市を合わせて呼ぶ。木の芽峠より南ということでこの名前がついた。この地方は、明治維新後には敦賀県となり、一時は滋賀県に属したこともある。福井市を中心とする嶺北地方とは言葉も違うし、どちらかといえば京都の方に親しみをもっている人も多い。


 状況を難しくしているのが原発の存在である。高速増殖炉の「もんじゅ」など、この地方には多くの原発が集中している。よく知られているように、関西の電力の多くがこの地域の原発に依存している。ただし、嶺南地方の全自治体に原発があるわけでもなく、小浜市のように原発のない自治体もある。とはいえ、ひとたび原発に事故があれば、その被害が直ちに及ぶことには変わりがない。


 今回、僕たちの調査グループでは、県の嶺南対策について調べると同時に、手分けしてなるべく多くの嶺南の基礎自治体の違った声を聞くことを目指した。


 結果としては、、、予想以上の違いを僕たちは実感することになる。