震災と原発事故の報に接して

 日本での震災と原発事故の報に接し、衝撃を受けている。自分にとって関わりの深い釜石をはじめとする地域の人々を思うと涙が出てくる。アメリカの地にあって、何もできない自分がなさけなく、また腹が立つ。それでも、一人また一人と、自分の知っている人たちの安全を確認すると、少しだけほっとする。多くの死者、今なお救援を待つ人々、避難で苦しい思いをしている方々を思うと、また暗澹たる気持ちになってくるけど。


 追い打ちをかけるように原発事故の脅威である。数分おきに情報を確認し、気が気でない時を過ごしている。現場にいる人々、不安にさいなまれている人々を思うと、何だか申し訳ないような気がしてくる。ただ、家で暗い顔をしていると勘のいいDaichiには伝わってしまっているようだ。A-sanと話して、子どもたちの前ではあまりその話題をしないようにしている。


 ここイサカでは、大学構内で募金活動が行われ、千羽鶴が折られている。明日にはダウンタウンで、犠牲者を追悼するためのキャンドル集会も企画されている。電話で、メールで、世界の各地からお見舞いの声が届き、町で会う人、会う人から暖かい声をかけられる。ありがたく感謝すると同時に、「たいへんな思いをしているのは僕じゃないんだけど」と思ってしまう。


 こんなときだからこそ、自分の仕事をしなければ、とも思う。今日二つの原稿を書いたが、その一つには直接に、もう一つには間接的に、いまの日本への思いを込めた。結局、自分は無意味なことをしているのかも、と感じながら。