ワールドカップ

 僕は、正直いって、あまりサッカーのことにくわしくない。ワールドカップのときだけ、ちょっとだけ盛り上がるにわかファンである。


 といっても、前のドイツ大会のときは、ほとんど興味をもつ前に大会が終わってしまった。やはり、何といっても記憶に残っているのは、フランスにいるときに経験した、韓国・日本共催の大会である。


 このとき、遠い日本での盛り上がりは経験できなかったが、パリでのワールドカップを経験することで、はじめてこの大会の意義を感じることができた。世界からの人が集まるパリである。セネガルが勝てば、セネガル人が旗を振り回して町中で大騒ぎする。アルゼンチンが負ければ、ふだんサッカーに関心などなさそうなインテリ・アルゼンチン人女性が、哀れなくらい意気消沈する。韓国人の友人はチームの勝利に熱狂して、窓から吠える、、、といった具合に、みんなまことに素直に自国の勝利に一喜一憂する。ふだんはそこまで「ナショナリスティック」にならない人たちですら、こうである。まあ、国際的な「お祭り」と割り切って、みんなでわいわい盛り上がれるのがワールドカップであろう。とても楽しかった記憶がある。


 さて、今いるのは、サッカー不毛の地とされるアメリカである。しかも、小さな大学都市イサカである。どうかな、と思っていたが、昨日、ダウンタウンである「イサカ・コモンズ」に出かけてみた。昼飯を、ということで、たまたま入ったのがスポーツバー。親子でハンバーガーをぱくついていると、次第に人が集まってくる。みるみる人で一杯になる。どうしてかな、と思ったら、アメリカーイングランド戦であった。


 結果は、アメリカ大善戦の1−1。おまけのような得点ではあったが、アメリカにとっては勝利に等しい引き分けである。多いに盛り上がりをしめした。アメリカ人もようやく、ワールドカップに関心を示すようになったらしい。


 まあ、パリのような盛り上がりには欠けるけれど、外国で経験するワールドカップは何となく楽しい。