4人姉妹

 前にも書いたと思うが、吉田秋生の『海街diary』という漫画が好きだ。その第三巻がちょっと前に発売されて、早速読んだ。うう、今回もいい話だ。

海街diary 3 陽のあたる坂道 (フラワーコミックス)

海街diary 3 陽のあたる坂道 (フラワーコミックス)


 鎌倉に暮らす若い3人姉妹のところに、母親違いの妹が加わる。性格も仕事も違う4人が、けんかをしながらも、それでも深い部分では相互を理解し合い、支え合って暮らしていくという話である。


 このストーリーの大前提はやはり、両親の不在であろう。父親も母親も死んでしまったか、あるいは去っていまはいない。通奏低音のように描かれるのが、優しくてしかし弱いために、結局は子供を守れない父、悪人ではないのだが自分のことで精一杯で、結果的に子供を放置してしまう母である。いずれにせよ、残された子供たちは助け合って生きていかなければならない。


 それでも話は暗くならない。誰も責めない。


 ある意味で、さまざまな傷を負いながらトラウマにせず、ユーモアをもって、信頼しあう人々と暮らしていくという、現代人の一つの理想というかユートピアを描いた漫画なのではないかと思う。