財政学

 ちくまのプリマー新書や、岩波のジュニア新書には、けっこう掘り出し物がある。おそらくターゲットは高校生あたりなのだろうけど、大人が読んでも楽しめる本が多い。


 今日、感心したのが神野直彦『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書)。神野先生による財政学入門である。


 わかりやすいだけではない。世の中には「金もうけをしてもいい領域」と「金もうけをしてはいけない領域」があり、両者の混同が現在の日本社会の混乱のもとだ!と断じるあたり、神野先生の真骨頂である。郵政民営化にも辛口のことが書いてある。この手の教科書本というと、あたりさわりのないことを書くことが多いが、この本はずばずばと言いたいことを言っている。


 昔、立花隆が、何かを勉強し始める際は、その分野の本のうち、子供向けに書かれたものがいい、と言っていた。この本など、まさにその最善の例ではないかと思う。