「いらいらしないこと」

 Daichiが「今日は出かける予定がないのか」という。どこかに連れて行け、の同義語である。「忙しいんだよ」とじゃけんに答えるが、コンピュータを前にうなっているだけの父親が言っても、あまり説得的ではない。根負けして、近所の商業施設に出かける。


 ふだんはあまり人がいなくて、「ここ、大丈夫かな」と思うような店に、山のように人がいる。連休最終日、行くところがなくなった人たちが来ているのだろう。「ああ、やだやだ」とつぶやく。こういうのを、まさに「天につばする」というのだろうけど。


 Daichiを連れて、ポケモンのパドリオというゲーム機のあるところに行く。この手のピコピコ音のする機械はまさに「ああ、やだやだ」なのだが、致し方ない。とはいえ、長蛇の列で、いつになったら順番が来るのかわからない。ますます不機嫌になっていく。


 そういえば、昨晩、家族が寝静まった後に見たNHKのテレビ(ETV特集「よみがえれ里山〜小さな米屋と農家の大きな挑戦」)で、放棄田を復活させ、おいしい米作りに邁進する人々のドキュメンタリーを見た。


 そこに出てきた農家の人(途中から見たのでよくわからないが、その道で有名な人らしい)が言う。「いらいらしないこと」。半端じゃない苦労をされている方ゆえにインパクトがある。「いらいらするとお米がまずくなる」。ふ〜む。


 自然を相手に、すべてが期待通りに行くとは限らない。手をかけ、心を配るが、あとは待つしかない。思うようにいかなくても、「いらいらしないこと」が肝心である。


 いらいらすると、書くものがつまらなくなる。心しよう。