第二次オバマ本ブーム
オバマが大統領になった前後、ずいぶんとたくさんのオバマ本が出版された。そのブームも一段落と思っていたら、ここのところ、また新たにオバマ本が出るようになった。政権発足から半年以上が過ぎ、そろそろ表面的ではない、よりつっこんだオバマとその政権の分析が目指されているようだ。
砂田一郎『オバマは何を変えるか』あたりがその代表だが、今日読んで感心したのが、この一冊。『評伝 バラク・オバマ』である。
- 作者: 砂田一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/10/21
- メディア: 新書
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- 作者: 渡辺将人
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/11/05
- メディア: 単行本
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この渡辺さん、前に出した『オバマのアメリカ』も、民主党党大会のリアルなレポートで面白かったが、今度の本は、よりじっくりと取材を重ねた重厚な評伝である。それもインドネシア時代に始まり、僕らの知っているオバマ以前のオバマの人生を、関係者のインタビューによって丹念に探っている。
キーワードは越境する大統領。オバマというと、ケニア人の実父のみが強調されるが、継父の国インドネシアでの経験がそれに劣らず重要であることがわかる。この国でオバマは、インドネシア人の子供として、完全にインドネシア的教育を受けている。先日、オバマが「太平洋大統領」といったことについて書いたが、文字通り、彼はアジア的な環境で育ち、そこからハワイ、西海岸、そして東河岸をへて中西部へ、とアメリカ拡大と逆のコースを歩んでいく。
こういう人物がアメリカ大統領になったことをどのように評価すべきか。考えさせられる、そして勇気づけられる一冊である。