オバマの教養

 昨日書いた渡辺さんの本を読んでいて、「へー」っと思ったこと。ハワイ時代はそれほど勉強好きとはいえなかったオバマだが、はじめて知的好奇心をくすぐられたのは、カリフォルニアのオキシデンタル・カレッジの頃だという。政治思想のゼミだったというのだが、そのゼミの先生はロジャー・ボッシュトクヴィル研究者である。


 このボッシェの講義でトクヴィルや『ザ・フェデラリスト』を読んだオバマは、やがて転入したコロンビア大学時代に、猛然と読書に邁進したという。


 オバマのスピーチを読み、これはかなり政治思想を勉強した人だな、と思ったが、その出発点がボッシェだったというのは面白いと思った。


 ボッシュの主著は『トクヴィルの奇妙なリベラリズム』。保守的にも、左翼的にも読めるトクヴィルリベラリズムの両義性を論じた本である。


 その後、オバマが愛読したのがラインホルト・ニーバーやパウルティリッヒらだったというのも面白い。ニーバーは神学者であると同時に、政治的現実主義者として、ケナンやモーゲンソーらに影響を与えたことで知られる。僕も昔から、何となく心引かれる思想家である。


 オバマの読書リストを見て行くと、なんとなく人ごととは思えない。う〜ん、こういう教養を持った人がアメリカ大統領になったんだなあ、とちょっと感銘を受ける。