エスプリ・ド・コール

 う〜ん、今日もまた「人の話を聞く」ことになった。大雨のなか、ようやく職場にたどりつくと、なぜか例のOB教員インタビューに再度引っ張りだされる。また別のOB教員である。


 趣旨は要するに、社史編纂作業のようなものであるが、うちはプロジェクト型の研究所なので、プロジェクト史ということになる。


 いろいろ話を聞いていると、過去のプロジェクトはつながっていないようで、つながっていることがわかる。受け継がれる問題意識というか、いわば組織の「精神」である。ヘーゲルみたいだけど。


 日本型組織というのは、こういう「精神」をマニュアル化せず、いわば人の口から人の口へと継承してきた。しかしながら、現在のように組織の改変や統廃合がおびただしい時代には、よほど意識的にやらないと、集団的な「記憶喪失」になってしまう。時代とともに忘れられてしかるべきものもあろうが、もったいない記憶もあるはずだ。


 うちの組織など、めぼしい組織変更もなかったのに、多くのことは忘れられてしまっている。


 受け継がれるべきもの何なのか、考えてしまった。