日仏比較

 この2週間ほど、現在フランスから来日中のM先生の、とくに宿泊関係のお世話をした。そのM先生も今日の飛行機でついにご帰国。ほっとしたような、さびしいような。


 M先生の言葉でおもしろかったこと。先生は大学周辺をだいぶ歩き回ったようだが、小さな、ほとんど零細といっていい小さな家々に、ほんの少しの庭があり、そこに草木がきれいに植えられているのに、強い印象を受けたという。フランスといえば立派な公共の公園が多いが、とくにパリ中心部において、個別の家に庭があるということはありえない。すべては法で厳しく規制されており、私的な庭というのは考えにくいとM先生はいう。これに対し、日本の都市の中心にはなお小さな民家が残り、そこに形も大きさもさまざまな小さな私的庭園がある。


 日本とフランスは、ともに中央権力が強いといわれるが、都市部の公的規制のあり方にはかなりの違いがあるようだ。そもそも私的空間と公的空間の捉え方が違う。


 フランスの都市において、建物の高さがそろい、建築の様式も統一的であるのをみて、さすがフランスは都市の美観ということに関して公的な統制がとれている、と肯定的にコメントする人が少なくない。しかしながら、M先生のニュアンスとしては、フランスは規制が強すぎて、自由がないという点に力点が置かれていた。


 このへんの微妙なニュアンスは、つっこんで検討してみたら、面白いのではないかと思う。