旧友

 われながら情がうすいと思うのだが、小中学校の頃の友人で、いまだに連絡をとっている人は皆無である。その頃住んでいた家も処分してしまったので、もはや完全に縁が切れたと思っていた。


 ところが、あるとき某新聞に雑文を寄稿した際、同じ頁のイラストを描いている漫画家がたまたま小学校の同級生であることがわかった。その同級生のお母さんが、そのことに気づいたとのことで、連絡をくれたのだ。その縁で友人に、僕の本の表紙のイラストを描いてもらうことにもなった。


 今度、その友人が結婚するという。誰が小中の友達をさそって来るように、との連絡が来た。というわけで、家を処分する際にたまたま見つけた文集についていた住所録(今の時代ならありえない)に、電話してみる。どきどき。僕はこういうの、苦手なのだ。う〜む、こんな久しぶりに電話しても、振り込み詐欺と思われないかなあ、、、、


 一人目「現在、この電話は使用されていません、、、」がっかり。もうやめようかと思ったが、勇気を出して二人目。おっ、本人はいなかったがお母さんが出てくれた。僕のことも思えていてくれたようで、ほっとする。


 一人わかると芋づる式に何人かと連絡がついた。いや、この手のことが大嫌いな僕にしては上出来だ。


 我ながら、忙しいさなかになんでこんなことをするのか、という気がしなくもない。でもまあ、昔の自分をちょっとでもかいま見るきっかけになったら、おもしろいな、と思う。