白川静

 松岡正剛白川静』(平凡社新書)を読む。この人もいささか書きすぎで、「う〜ん」という本も多いのだが、この本は久しぶりにヒットである。


 独自の情報編集論で一世を風靡した松岡が、何で漢字研究の泰斗白川の本を書くのか、と思う人もいるだろうが、松岡は、まだ知る人知るという無名時代からの白川のファンであり、年期が入っている。


 基本的には白川の研究を手際よくまとめた本であるが、彼の研究の背景にある「東洋学」の構想、日本文化としての漢字論など、なるほどと思わせる。


 ちなみに白川さんという人は長く学界で無視されたり、反発され、ようやく70,80歳を過ぎて世に認められた人である。僕の師匠筋であるW先生も、昔、かなり批判的なことを言っていたのを思い出す。僕には、彼の学説の真偽を判断する能力はないが、それでも面白いことは間違いない。


 そういえば白川さんも福井の人だなあ。