社会科学の論文

 恒例の英文雑誌の編集委員会。社会科学としての日本研究一般の雑誌なので、投稿されてくる論文は実に多様なトピックを扱っている。読んでいるだけで、なかなか面白いが、編集委員会の仕事は面白いだけではつとまらない。どの論文を、どのような条件で採用するか。毎回、委員会の議論は、あらためて社会科学において論文とは何かを考えさせる。


 今日の編集委員会で印象に残ったのは、ある委員の「よく書けた作文だね」という評価。要するに、社会科学の論文ではなく、単なる作文に過ぎないという。


 僕はこの論文、けっこう面白いと思ったのだけど、たしかに分析や論拠が弱く、「作文に過ぎない」という評価もわからないではない。


 でも、自分の論文を振り返り、はたして「単なる作文」という評価を免れるのか、あらためて考えてしまう。


 ややこしく考え過ぎることはない。クリエイティブな議論と、それを支える論拠さえあればいいのだ。とはいえ、やはり社会科学における論文とは何か、あらためて考えることしきりである。