かえるくん

 今日の帰り道、なんだか急に読みたくなって、村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』の文庫本を買った。

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

単行本で読んだのはいつのことだったろうか。阪神・淡路大震災をモチーフに書いたこの連作小説。とくに「かえるくん、東京を救う」が印象に残っている。ある日、しがない信用金庫の職員のアパートに巨大なかえるが現れ、「東京が地震で崩壊するのを防ぐため、ぼくと一緒に戦ってください」と言う。いやはや、なんともなお話である。


 昔読んだときは、へんなお話だなあ、とけらけら笑って読んだだけだが、今回、読み直して、なんだかしみじみしてしまった。いや、やはり荒唐無稽なお話ではあるのだが、今回の印象は、なんだか恐ろしく、悲しい話なのだな、というものだった。


 いや、かえるくん、あなどれず、である。