なんとなくヘン

 森さんの『変貌する民主主義』を読む。民主主義について現代的な視点から分析を進めていく本書であるが、とくに差異やポピュリズムとの関係において民主主義を論じているあたりに特徴がある。


 と、思って読んでいたら、げげ、現代のトクヴィル論に対する不満も展開されている。トクヴィルそのものというより、現代においてトクヴィルを通じて何ごとかを論じようとする人々に対しての異議申し立てである。う〜む、ご丁寧に僕の本まで引いてある。まあ、批判の対象からは外されているようだけど、いやはやありがたいというべきか、、、


 現代のポピュリズムを論じるにあたって、大学の生協食堂などにはってある「一言カード」の話をしているのが眼をひく。どうも勝手なことばかりいう、これらのカードの書き手に対し、森さんはまじで怒っているようである。きちんきちんと堅実な議論が展開されるなか、この部分だけは、なんとなくヘンで、おもしろい。


 やはり、適度に、「なんとなくヘン」な本が好きである。