『ヤクザと日本』

 宮崎学『ヤクザと日本』(ちくま新書)を読む。この宮崎学という人、なんか自分とは違う世界の人、という感じでこれまで縁がなかった。今回もたまたま手にした本だが、これがなかなかヒットであった。


 この人、自らヤクザの家に生まれたわけだが、この本はヤクザが日本社会においてなぜ存在したのかを歴史的に探る実に学術的な著作である。何しろ、丸山真男ではじまり、日本経済史研究における奇才東条由紀彦の研究にも触れている。法治の世界の外部にヤクザという社会装置を必要とした、日本の市民社会についての歴史的考察となっていて、読みでがある。


 中央公論でも特集があったが、いや、新書というのはおもしろいジャンルである。ミーハーな本のなかに、ミーハーなみかけにもかかわらず、骨太な本があるのだから。