公開シンポジウム

 公開シンポジウムを聞きに、竹橋へ。皇居の見える見晴らしのいい会場である。全国サンプル調査に基づき、はたして日本人はいかなる社会経済システムを望んでいるのか、政党支持別に有意な違いは見られるかを検討するものである。北大の山口二郎・宮本太郎さんが基調報告。


 結果として、北欧型の福祉国家を志向する人がもっとも多く、自由競争を旨とするアメリカ型モデルはあまり人気がないこと、ただし自民党支持層と民主党支持層との間には、小泉改革の評価や今後の社会保障への期待などにおいて、有意な違いが見られるということなどが主なポイントである。興味深い点としては、福祉国家への期待は高いが、行政への不信も高いということ。これをいかに乗り越えるかがポイントとなる。また、やや意外なのが、女性は福祉国家への志向は男性より高いが、伝統的な家族志向もまた男性より高いという点。この女性の政治的支持がどこに向かうかも一つの焦点となりうる。詳しいことは、『世界』の最新号に掲載されているので、それを参照。


 シンポジウムの後半は、政党の側からのリスポンスということで、加藤紘一菅直人のお二人がコメント。はじめてこの二人を直接見たが、二人とも語りが上手く、話を聞かせる。加藤さんは地域のコミュニティの重要性を説き、菅さんは環境問題を強調した。政界再編をめぐり、自民党の保守リベラルと民主党のリベラル・社民派の連携の可能性がどうしても話題になったが、そのあたりは二人とも慎重な姿勢を維持した。印象としては、加藤さんは、日本文化論を展開するなど、やや文明批評家風。対するに、菅さんはより鋭利に、民主党の立場を強調するところは強調し、いかにも政党を代表する論客である。お二人の現在の立場の違いもあるだろう。


 まあ、自分なりにいろいろ思うところもあり、勉強になった。アカデミズムと政治の現場の関係についても、いろいろ考えさせられた。何より、野次馬精神を満たしてもらったのが収穫。