長い旅路

 ひどい目にあった。さて、家に帰るかと地下鉄にのり、家の方向に向かう某路線にのりかえると、人身事故で電車がとまっている。


 なかなか動きそうにないので、仕方なく、違う地下鉄にのりかえる。いくつかのりつないで、ともかく山手線のターミナル駅まで行こうとしたのである。


 ターミナル駅に着いた頃には、なんとか事故への対応も終了し、全車各駅停車ながら運行が再開している。やれやれと思い、電車にのる。


 ところが一つ前の駅に行くと「車両間隔の調整のため、しばし停車します」と言ったきり、うんともすんとも言わなくなる。5分ほどたった頃だろうか、いきなり「線路の損傷のため、復旧見込みがたたないので、振り替え輸送のバスで先に向かって下さい」との車内放送。「はたして、家に帰れるのか」と心細くなりながら、しかたなく改札に向かうと、そこは阿鼻叫喚のちまた。怒号が行き交い、押し合いへし合い。なんとか地上まで出るが、あたりいったいが人でいっぱい。長蛇の列で、振り替え輸送のバスなんて100万年待ってものれそうもない。しかたなく、しばらく歩いて、違う方面に向かうバスへ。これでなんとか、平行している別の私鉄線にのり、家の近くまで行こうとする。


 しかし、のったバスが悪かったのか、知らない町を延々とさまよう。ふ〜ん、知らない町がこんなに続くんだ、と少々ぐったりした頃に、某私鉄の駅へ。その私鉄線は若干遅れていたが、ともかく運行している。これで西に向かい、我が家のそばを走るバスが出ているはずの駅でおりる。しかしまあ、そりゃそうだよね、何十万人という人が使っている電車が止まっているわけである。その人たちもまた、なんとか西へ向かうべく、必死になっていろんな路線を使っている。その人たちが殺到しているわけだから、そのバスにも死ぬほど人がのっている。


 あ〜、結局家についたのは、職場を出てから3時間30分後であった。つかれた〜


 まあ、知らない町をたくさん見たのは楽しかったけど、この程度の事故でもこれだけ混乱するのだからなあ。大地震で起きたときにはどうなることかと、かなり不安になってしまった。