ヘーゲル

 今年最初のヘーゲル・ゼミ。中世の封建制を憎むヘーゲルが、それでは、そのような封建制に敵対したキリスト教をどのように描くか。議論は単純ではない。教会秩序を世俗の秩序から切り離し、純化しようとしたグレゴリウス改革への両義的な評価に、ヘーゲルの議論の微妙さが象徴されている。教会秩序を世俗の秩序から切り離し、聖職者を聖職者たらしめ平信徒との分離を進めることで、カトリック教会はむしろ世俗との抜き差しならぬ対立に落ち込んでいく。このアイロニーこそ、ヘーゲルの歴史哲学の真骨頂である。


 この手の微妙なヘーゲルの議論のあやをどのように理解していくか。また説明するか。ヘーゲル・ゼミのおもしろさと悩みである。