アメリカ大統領選は、アイオワに続いてニューハンプシャーである。共和党は候補が乱立した上、どの候補もいまのところ「う〜ん」であるが、民主党は事前のオバマ優勢を覆し、ヒラリーさんが地力を示した。


 投票率からいえば、ヒラリーがオバマをわずかに上回っただけだが、当分続くと思われていたオバマの勢いを止めたという意味で、ヒラリー勝利の意味は大きい。


 それにしても、事前予測からすれば、ヒラリーさん大健闘である。その原因はどこにあったのか。報道によれば、彼女が見せた「涙」にポイントがあるらしい。「冷たいエリート」と思われていた彼女の意外な人間性が好感を呼んだというのだが、どんなものだろうか。


 彼女の勝利演説で印象的だったのは、「自分は失っていたvoiceを取り戻した」というセリフである。自分が自分らしく語る「声」を見失っていたのが、ニューハンプシャーの人々のおかげで、もう一度取り戻すことができた、というのであるが、なかなかうまいことを言うなあ、という印象である。誰かスピーチライターが考えたのであろうが、それを自然に聞かせるのはやはり彼女自身の力であろう。


 人が自らを、自分らしく語るためには「声」が必要である。それをいかにして取り戻すか、というテーマは、政治家に限らず普遍性をもったテーマであろう。ヒラリーさんが取り戻した自らの「声」を、彼女が今後どのように発展させていくのか。当分、オバマ・ヒラリーの対決から目を離せない。