時代の記憶

 今日の昼間、小一時間ほど、隙間の時間があった。何をしようか考えた上、釜石で前にコピーしてきた市の広報を数年分、ひたすら読んでいった。昭和三十年代のものである。広告に入っているのも、黒沢明の『用心棒』だったりする。なんだか読んでいるうちに、すっかり気分は『Always 三丁目の夕日』になってしまった。


 ジャーナリストだった鈴木東民市長の肝いりではじまった市の広報は、コラムあり、対談あり、いまどきの市の広報に比べてても読み出があって面白い。


 市長自身、毎回エッセイを書いているほか、対談などでも、自分の選挙の暴露話や政敵の批判など、今の感覚だとちょっと「こんなの、市の広報に書いていいのか」という感じである。まあ、おおらかな時代だったのであろう。


 なんだか、ここには地方都市の、穏やかだけど濃密な時間感覚がある。論文はともかく、楽しいタイムトリップのひとときであった。