『おもひでぽろぽろ』

 いや、めでたい、めでたい、、、のはともかくとして。


 ナイター中継が終わり、ぼんやりとテレビを見ていると、高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』をやっていた。ついつい見てしまった。


 このアニメを見たのは、僕が大学院に入った頃であろうか。原作は、ノスタルジーものの漫画。「ひょっこりひょうたん島」も出てくる、昭和30年代の世界が舞台だ。この時代への郷愁が、映画の基調となる。まあ『Always 三丁目の夕日』と一緒である。


 しかもこのアニメ、監督のねらいなのか、原作にはない現代のシーンが加わる。大人になった主人公が、山形の農村で農業体験をしつつ、昔の自分を振り返るというストーリーになっている。


 正直いって、この設定は、あまりにくさい。都会人の主人公が農村社会に入り込もうとしつつ、ギャップに出会い、傷つく。でも、そのことを意識しつつ、山形の農村で出会ったある種のリアリティにかけようとする。なんとなく農本主義、というか、あまりにストレートな問題意識が、少々つらい。


 まあ、久しぶりに見て、そのあまりの「くささ」にやはりげんなりとしつつも、この映画を見た当時、それなりに感動したことも思い出す。


 高畑勲監督は、どうもその社会的な「問題意識」の突出振りで、スタジオジブリの監督としては成功していない。でも、この映画は、ぎりぎりのところで、彼の社会的な問題意識とエンターテイメントが均衡している気もする。ともかく、懐かしく思った。