村上春樹

 この前、内田樹の『村上春樹にご用心』を読んだ。なかなか面白い本だった(ときどき読むと、内田の本ってけっこう感心する。しばらくたつと、何に感心したのか、わからなくなるけど)。


 というわけで、ここ数日、村上の初期の作品を読んでいる。実を言うと、僕は村上ファンではあるが、どちらこというと彼のエッセイを愛好し、小説に関していうと、初期作品より後期の作品を好んでいる。というか、初期作品は僕にとって、「なんだかピンとこない」のである。いや、こなかったのである。


 でも、今回、『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』と続けて読んでみて、初期作品も悪くないなあ、とあらためて思った。


 少なくとも、とても素直に読めた(いやでも、「鼠」が出てくるたびに、「ねずみ王様」を思ってしまったのだけど)。何か、そぎ落とした、村上の思考の原型のようなものがわかった気がする。


 じゃあ、何がその原型なのか、といわれると困るんだけどね。