『社会』
- 作者: 市野川容孝
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/10/26
- メディア: 単行本
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市野川さんの社会民主主義へのこだわりは、「社会的なるもの」をあくまで「民主主義」の徹底によって実現しようというプロジェクトに対するコミットメントによる。そのような見地から市野川さんは、議会制というブルジョワ的制度を、ブルジョワの手から奪い、ブルジョワ以上に純化しようとしたローザ・ルクセンブルグを再評価する。
さらに本書の後半では、「社会的なもの」の本質を、平等に対する規範的な志向のうちに見いだし、それをルソーの読み直しによって論証しようとする。この部分もとてもスリリングだ。
まあ、一冊の本におさめようとするのが無理なくらい、いろいろなことを詰め込んだ本である。その意味でたいへんな本ではあるが、メッセージは明快であると思う。