国際文化会館

 とある用事で国際文化会館に出かけた。リニューアル工事をしたということだが、見た目はほとんど変化がない。聞いたところでは、建築が貴重ということで、外面にはほとんど手を付けず、もっぱら中身のリニューアルに集中したそうだ。


 しかし、この建物には、最近建てられたホテルなどとは違うおもむきがある。庭は美しいし、そこはかとない風格がある。六本木の駅から近いとは思えない静けさである。


 この会館は、敗戦後の日本が再度、世界との交流を回復するために作られた。一昔前まで、有名知識人が来日すると、ここに宿泊したものである。が、ここも時代の波にさらわれ、なんとかして生き残りをはかろうと転身を模索している。


 しかし、常連さんらしい、品のいい日本人、外国人の老紳士が、静かに新聞を読み、食事をとり、知人と話している様子を見ると、まあ、こういう雰囲気も悪くないかな、と思う。経営のことはわからないが、なんとなく、こういう空気を残して欲しい気がする。