共同研究

 職場の研究会。いま、うちの職場では二つの共同研究プロジェクトが平行して進行中であるが、その双方の中間成果を報告するとともに、常日頃はそれぞれのプロジェクトメンバー間でのみ議論しているのを、二つのプロジェクト間で、またそれ以外の人とで意見交換しあうのが趣旨である。とくに僕が属しているプロジェクトは、既存の専門を超えた問題意識先行型のものであるため、はたしてどれだけ学問としての実があるのか、既存の専門分野といかなる関係にあるのか、かなり厳しい議論も飛び出した。すべて予想された議論ではあったが、緊張したひとときであった。そこでの議論を今後に生かしていきたいと思う。


 今の時代、共同研究はありふれたものになっている。そのうち、調査対象があまりに巨大で、複数の研究者で共同して取り組まざるをえないものもあるだろう。理系のビッグプロジェクトや、大規模な社会調査がそれにあたる。しかし、多くの文系の共同研究の場合、それとはちょっと違う場合がほとんどである。一定の問題意識を共有した上で、ある程度多様な専門分野の研究者が集まり、そのやりとりから、それぞれの専門分野だけでは見えにくかった何かを発見することを目的とする共同研究が、それである。このようなタイプの共同研究は、いかなる条件があれば、稔り多いものになるのか。そういうノウハウも、これからの蓄積していきたい。