先生

 四方田犬彦の「先生とわたし」の評判をあちこちで聞く。彼がその先生だった英文学者由良君美との関係をつづった物。読んでみたいなーと思い、本屋に行ったら、あいにく『新潮』はもう4月号しかない。近所の図書館に行ったら、なぜか3月号だけない。今日、神保町に行ってよった本屋でも見つけられなかった。今度大学の図書館で探すことにしよう。


 評判のほとんどが絶賛であるが、今日話したある方は、「話を作っている」と批判的であった。どうなんだろう。ますます読みたくなる。


 自分のなかにさまざまな矛盾を抱え込み、破滅へと向かうキャラクター。しかし、その矛盾にみちた存在は、同時に学問の拡がりと深さをその弟子にかいま見させ、かつ学問への欲望をかき立てる。はなはだ困った人ではあるが、その負の側面を含め、そのトータルな存在において、弟子を学問へといざなう先生。ある意味でもっとも理想的な先生なのかもしれない。