掃除

 研究室の掃除に着手した。山積みになった本、うずたかく積み上げられた書類、空けられないまま放置された段ボール箱。机の上も下も雑多なもので一杯である。こんな状況のままよくこれまで過ごせたものだと、ここ数年の自分の混乱ぶりとその原因となった忙しさに、我ながら感心してしまった。


 今も別にひまになったわけではないが、例の耐震強度問題で、いつ引っ越しになるとも限らない。今の状態のままで、物をそのまま段ボール箱に入れて引っ越しとなれば、この悲惨な状況はさらに恒久化しかねない。今のうちに整理できるものは整理しないと、と決意したわけだ。


 いやあ、出てくる、出てくる。いただいたまま礼状も書いていない本。とっくに締め切りの過ぎた問い合わせ文章。しみじみ、すさんでいたなあ、と思う。でも、ああ、こんなのを自分は買っていたんだな、という本も何冊か出てきて、ちょっと楽しくもなる。本はきちんと整理して、しかるべき本と並べられることで、その価値は倍増する。しばし配置転換をしていると、少しだけ自分の頭も整理された気がした。