スポーツ・ジャーナリズム

 日本のプロ野球チームもキャンプが終わり、オープン戦の時期になった。僕がとあるチームのファンであることは、ここでも何度も触れてきた通りであるが、このチームのキャンプについて、ここ数年キャンプ地在住のファンの方が、実に詳しいレポートをホームページで公開されている。これが面白くて、毎日楽しみに読んできた。


 選手がどんな練習をしているのか。その表情は。選手同士、あるいは選手と監督はどのようなコミュニケーションをとっているのか。チームの雰囲気は。そんなことが手に取るようにわかる。キャンプだから、選手は観客からすぐ近くでプレーしている。その一々の動作も言葉もすべて伝わってしまう。


 このレポートを読んでいて思うのは、このレポートと比べると、スポーツ新聞の記事というのは、実にうわべだけの、個々のエピソードを連ねただけのものにすぎないなあ、ということだ。おまけに、このエピソード、ほとんどどの新聞でも同じことが取り上げられている。おそらくチームの側でも新聞にとりあげてもらいやすいねたを意図的に提供し、記者の側もそれにのる、という図式が完全にできあがっているのだろう。しかし、このような詳細な現地レポートがウェブ上で紹介されてしまうと既成メディアの方は、どうしてもものたらない感じがしてしまう。


 ある意味スポーツ・ジャーナリズムの真価が問われているのだろう。個々のエピソード紹介だけでは、もはやもたない。「さすがプロ、深いなあ」という分析を見せないと、読者は満足しない。まあ、情報量の多い時代、読者の要求が次第に高いものになっていくのは、いかなる分野であれ、同じであろうが。