パースペクティブと普遍的なるものの経験

 職場の同僚で今春で定年退職されるH先生の研究会。日本政治思想史の大家であるH先生が、自らの研究歴を振り返って総括する試みであり、面白かった。ある研究者が自分の過去の研究を、自分の生きた時代の変化ととともに語るとき、ある種のパースペクティブを提示することになる。重要なのは、そのようなパースペクティブがはたして歴史的に見て正確であるか、ということよりも、そのようなパースペクティブに託された思いである。


 ちなみに僕としては、H先生が今の段階でご自分のお仕事を、丸山真男の研究との関係でどのように位置づけているのかもっと聞いてみたかったが、司会者ということもありがまんした。


 今日思わず出てきた先生の言葉でもっともインパクトがあったのは、「テキスト読解を通じて、普遍的な理念から語りかけられたように感じる経験」、だろうか。僕はわりとそういう感覚、わかるような気がするけど。