講義

 講義を聴いている学生さんは分からないだろうが、実は教壇に立つと、どこに誰がいるか、けっこうよくわかるものである。人の出入りや、どの学生があくびしていて、どの学生がにやっとしたかとか、よくわかるものだ。何となく今日は、数百人いる学生さんの顔が一人ひとり、よく見えた気がする。

 
 良いものばかり見えるわけではない。ぐーすか、実に気持ちよさそうに熟睡している学生さんもいるし、携帯でメールを送るのに余念がない人もいる。まあ、他人に迷惑をかけない限り、いいとしよう。

 
 でも、話のポイントで、ちょっとにこっとしたりしてくれると、けっこううれしい。こちらの馬鹿話に、「馬鹿だなあ」と思いつつも苦笑してくれると、やっぱりうれしい。何となくそういう反応を感じながら講義できると、講義も悪くないなあと思う。