隠岐の島

 島根県隠岐の島に来ている。実をいえば、僕の本籍地はここの西ノ島というところにある。いちおう、先祖の地ということになる。



 今回、隠岐の島に来ているのは、いろいろ役場などと掛け合わなければならない用事があるためだ。Daichiの海水浴とあわせ、はるばる、この日本海の孤島(後鳥羽上皇後醍醐天皇の流刑の地である)に来ている。



 お役所の方々、司法書士、それから地域の方々とお会いしてお話をうかがう。なんとなく、この前の釜石を思い出す。人口が減り、産業もなく、将来に関してけっして楽観できない状況にあるという点で、二つの地域は非常に似ている。



 海水浴場に行っても、人の数が少ない。僕が小さい頃来たときには、この海水浴場も人でいっぱいだったのに。今は、人影もまばらで、海が驚くほど透明できれいだ。Daichiは海で泳ぐのははじめて。浮き輪をつけて水にうかべると、最初はびびっていたが、次第にリラックスして、いい加減で力が抜けているせいか、うまい具合に海に浮いている。気持ちがいいらしく、うひうひいいながら、「Daichi、泳いでいる〜」と超上機嫌である(ときどき、正面から波を受けた瞬間だけはパニクったけど)。



 島の人は親切。でも、いろいろうっくつも深い。釜石と同じだ。とことんお酒を飲まないと、なかなか本音を言ってくれないのも同じだ。今回もしこたま飲まされて、もう当分ビールは飲みたくない(といいつつ、毎日飲んでいる)。酒を毎日飲んで、暑いさなか島のあちこちに出かける毎日である。驚くことに、島の一番いいホテルでもインターネットの施設はない。新聞が届くのも午後になってだ。こんな島で、東京での仕事をすっかり忘れて毎日過ごした。先ほど松江に帰ってきて、ようやくネット接続も回復。隠岐での日々が早くも幻のような気がする。