福岡の夜

 福岡に四日目。だいぶくたびれてきた。が、なんのその、今日もたくさんのセッションに出席すべくホテルを出る。しかし今日はバスが時間がかかる。博多の町は今、山笠祭りの真っ最中。町の至るところに山車(というのかな)が置いてある。道も混み出しているようだ。


 午前中は日本側企画、丸山眞男のセッションに出る。このセッション、報告者がアメリカ人・中国人・オランダ人であり、日本のテーマを多様な国の研究者が語るという意味で、日本側企画セッションとして理想的だと思う。しかしながら、残念なのは、アメリカからの報告者であるB先生が急な用事で欠席されたことと、参加者のほとんどが日本人だったこと。う〜む。



 報告は特にS先生のがおもしろかった。丸山の時評(夜店)は、その時々の時局の問題を扱いつつも、実はその時局をどのような認識の枠組みで捉えるかという政治的認識論の実践として理解できるという話が斬新だった。



 午後はアメリカを代表する政治学者の一人であろうL先生の報告を聞く。実に生き生きとして、ドラマティックな語り方。「政治学者は政治の病理学者なのだから、政治がやんでいる方が、政治学者はやりがいがあるのだ」と人を食った話しぶり。



 その後は、やたらいろいろなセッションを渡り歩く。インドネシアの話、オーストラリアの話、フランスの話、カナダの話、、、なるほどこりゃあ世界学会であるなあ、と実感する。最後は日本側企画のカール・シュミットのセッションに出る。ここでようやく明日の自分のセッション関係者と出会う。今まで実は誰とも会っていなかった。「大丈夫かなあ」と不安だったので、明日の相談ができて少し安心した。



 その人たちと博多駅付近で夕食をとり、ホテルへはバスでゆっくり帰る。中州、天神、、、福岡は大きい町だけど、ヒューマンスケールの町に見える。バスから町の風景を見ていて楽しい。気候は亜熱帯に近い。夜になっても食べたり飲んだり、出歩く人の姿が絶えない。



 いよいよ、明日が泣いても笑っても本番。がんばるのだ。