実家

 実家を処分することになった。かれこれ10年近く放置された家を整理しないといけない。ということで、これから泊まり込みで作業をする。なんで連休にこんなことをしないといけないのか、という気もするが、いたしかたない。両親も歳だし。



 僕のふるさとは八王子。昔は、東京に一番近い地方都市だったが、今は完全に東京のベットタウンになってしまっている。駅前は江戸時代の宿場町以来の商店街が並んでいたが、今はほとんどが店をたたみ、マンションに姿を変えている。家の付近も昔は田んぼや牛小屋が並んでいたが、いまがロードサイドの量販店ばかりだ。



 それでも、ふらふら町を歩くと、昔の同級生の家があったりする。たぶん彼らは今頃違うどこかの町で暮らしているのだろうけど、そのお父さんお母さんは、まだここで生活している様子。懐かしくなってベルを押してみるけど、反応がない。連休でどこかに行っているのか、それとももうここには暮らしていないのか。



 いろいろ片付けていると、いろいろな物が出てくる。昔の日記も出てきたので読んでみると、まあ、実に暗い。陰々滅々。でもちょっと自分に酔っている文章。さてさて、今ではすっかり忘れてしまったけど、自分もこんなに将来を悲観して、自虐だか、ナルシズムだかわからない文章を書いていたんだな。懐かしやら恥ずかしいやら。