ニューヨークの巨大な空虚

 ニューヨークに移動。空港につきユナイテッドだと思ってカウンターに並ぶと、共同運行便のUSエアウェイズであり、違うターミナルだと言われる。仕方がなく、荷物をひっぱって、ターミナル間を移動。汗まみれになって不審と思われたのか、セキュリティーでは一人だけ別の場所に連れて行かれ、念入りにチェックされる。だんだん、いつもらしくなってきた。飛行機も予定通り遅れ(変な言い方だな)、ゲートも二転三転、ますますいつもらしくなってきた。が、今回はここまでで、あとは無事ニューヨークにたどり着いた。



 ようやくホテルにチェックインし、やれやれニューヨークの町に出かけようかと思うが、実は今日提出のとある報告原稿が出来ておらず、泣く泣くホテルにこもって書く。4時になってようやく一段落し、ホテルを出て、セントラルパークをつっきり、グッゲンハイム美術館に。その後バーンズ&ノーブル書店により(好きだね)、グラウンドゼロへ。その頃にはすっかり日も暮れ、あたりは人通りも少なく、心細くなる。ふらふら道を歩いていくと、突然ワールドトレードセンター跡地の巨大な空虚にぶつかった。前にニューヨークに来たとき、上まで登ったことを思い出す。今は、ただ黒々とした空間が残るだけである。ここにあの建物があったなあと想像しようとするが、どうしても想像できない。フェンスに囲まれた土地の下の方に、むき出しになった地下鉄駅の明かりだけが見える。



 なんとなく怖くなり、とぼとぼ暗い道を帰る。ところが乗ろうとした地下鉄の駅の入り口は閉鎖している。しょうがないので、隣の入り口まで行くが、ここも閉まっている。寒いし、人気はないし、地下鉄には入れない。こまったなあと歩いていると、教会があり墓地まである。本当に霊でも出てきそうだ。ここはこれでも世界の経済の中心地か、と呪いながら必死に歩いて、開いている地下鉄駅を見つけた。ああ、怖かった。


 明日はプリンストンに行く。