イサカでの一日

 イサカの町に到着する。その前の日と天気が一変し、大雨のなかでの飛行機旅となったが、イサカの町が近づくにつれ明かりが指してくる。まずはいい兆しかな。


 これまで生活した外国の町というと、パリを始め、刺激は多いものの、いささか雑然としたところが多かった。それと比べると、イサカはいかにも穏やかで、緑の多い美しい町である。ここでこれから1年近くを過ごすと思うと、なんだか不思議な気がしてくる。


 コーネル大学は渓谷沿いにあり、橋を越えてキャンパスに入る。構内に湖もあり、なんだか不思議な感覚。


 この日はちょうど学期末にあたり、至るところで試験から解放された学生さんたちのパーティーが開かれていた。なんだかその若さとエネルギーにあてられてしまう。アジア系がともかく目立つが、聞くところによれば韓国系の学生さんが多く、日本人はあまりいない様子。まあ、いまどきのアメリカの大学はどこもそうだろうけど。


 とかく事務手続きというのはくたびれるものだが、どこも担当者がフレンドリーで愛想がいい。リベラルな町で、外国人慣れしているのだろう。「アメリカは、ティーパーティーも台頭するなど、けっこう荒れているのでは?」と予想していたので、ちょっと拍子抜けなくらいである。まあ、この町が特殊なんだけど。


 公共政策大学院に所属するTさんと、ロースクールにいるNさんにお世話になる。『希望学』で僕のことを知ってくれたという。いやはや、ありがたい限りである。