政治の精神

 出た直後に一度読んでいるのだが、必要があってあらためて佐々木毅『政治の精神』を読み直す。

政治の精神 (岩波新書)

政治の精神 (岩波新書)


 著者も言う通り、この本のアピールポイントは、終章の政党政治論であろう。ただ、そこに至るまで、政治とは何か、政治家に求められる資質とは何か、いかに有権者は政治的判断力を養うべきか、を思想史の古典(中国の古典からの引用も目立つ)を縦横に用いて論じている点こそ、著者の真骨頂である。


 今回読み直してみて、ある意味とても生々しかったのは政治的リーダー論の部分。この部分、著者自身、かなり熱くなって論じているのが、よくわかる。著者はこれまでもマキアヴェリウェーバーを参照しつつ、政治的リーダーについて論じてきたが、今回、さらに力が入っている。


 全体を通じて、デモクラシーの政治的統合機能に対する危機感に貫かれている。けっして甘口の本ではない。