ポール・オースターの『孤独の発明』を読む。オースターを読むのは実ははじめてだけど、なかなかおもしろい。
不幸な関係にあった父親をめぐる、なかば自伝的な文章である。その死から話がはじまり、最初はグロテスクな人物に描かれる父親が、やがて、その人生を振り返る中で、少しずつ印象が変わってくる。
必死にお金をためることで、父親は世間の荒波から自分を遮断するためのシェルターを作ろうとする。なかば意図的に、なかば運命的に、絶対的な孤独のなかに沈潜していく。
おそろしい話ではあるが、静かで落ちついた文章はついつい読ませる。う〜ん、この人の文章も悪くないかも。