赤いおじさん

 小学校になると父母の仕事も多くなるが、その一つに、校門での交通整理がある。今日はその当番ということで、張り切って小雨のなか、朝出かける。


 とはいえ、実をいうとちょっと不安。何をすればいいのか、よくわからない。赤いゼッケンのようなものをつけ、旗をもってともかく校門に立っていろという。


 車が来たとき、ちゃんと子供たちを道路を横断させないといけない。が、ぼさっとした僕が出るまでもなく、子供も車もとくに問題なく通行して行く。はっきり言って、あんまり立ってる必要はないなあ。


 むしろ重要なのは、ともかく目立つ格好をして、校門に立っていることのようだ。不審者の校内への侵入を防ぐのが目的だが、マニュアルによれば、危険があればブザーを鳴らし、自分は逃げていいという。


 もちろん、そんな危険な人物はなかなかやってこない。でも、いつ来るかはわからない。ともかく、人が立っていて、ちゃんと見ているぞ、と示すことが大切なのだろう。


 それでも、ぼさっと立っている僕にもちゃんと挨拶してくれる子供たちが多いのに感動。せっせと「おはようございます」と声をかけ、すっかり「緑のおばさん」ならぬ「緑のおじさん」気分を堪能した(「赤いおじさん」だったけど)。