遠野物語

 昨日の釜石からの帰り、遠野によった。わずか数十分だが、これまで立ち寄りたい、立ち寄りたいと思っていただけに、ちょっとうれしかった。


 考えてみれば、遠野の町が有名になったのは、柳田国男の『遠野物語』のおかげであろう。しかしながら、はたしてどれだけの人が実際に『遠野物語』を読んでいるのだろうか。


 恥ずかしながら白状すると、僕自身は一度もこの本を読み通したことがない。そこに収録された物語の一つひとつはそれなりに面白いが、全体としてまことにとりとめなく見えてしまうのだ。


 今回も駅のキヨスクで文庫本を買ってみる。お、新しい解説を、この前の長野行きでご一緒したTさんが書いている。


 釜石線の車中と、帰りの新幹線のなかで読み進める。ざしきわらしの話が典型だが、ある怪異が宿ることで、家が栄えたり、逆に去られてしまうことで、没落するという話が目立つ。


 おそらく歴史のなかで、発展する家もあれば、没落する家もある。なぜある家は発展し、ある家は没落するのか。その理由を説明するために採用された、語りの一形式だとは思うけど、、、


 な〜んて解釈はつまらないな。どうも僕はやはり柳田のいい読者ではない。