IKEA

 IKEAに出かける。日本に進出したと聞いて以来、一度は行ってみたいと思っていたが、機会がなかった。今度、Daichiが小学校に進学することもあり、そろそろデスクでも物色してみようかと思ったのだ。


 そういえば、パリにいた頃、住んでいたアパルトマンは、すべての家具がIKEA製品だった。大家さんの趣味であったが、おしゃれというより、何となく質朴な感じがした。フローリングというよりも板張りという方がふさわしい部屋に、適度にくたびれたIKEAの家具は、妙にしっくりとしていた気がする。


 しかし、行ってみると、実に店舗は広い。異様に広い。しかも入り口で、紙と鉛筆を渡され、欲しい製品を書き込むという。何だか勝手がわからず、「こりゃあ、だめか」という予感がただよう。


 巨大な店舗は回遊方式で、客はぐるぐると店内を見て回る仕組みになっている。買いに来ているのは若いカップルが多い。みんな、うれしそうに歩き回っている。しかし、若くない僕らは、次第にくたびれていく。歩いているうちに、目が回ってきた僕らは、肝心のデスクやベッドのところに来た頃にはすでにぐったり。小物を何品か買って、ほうほうのていで撤退する。


 いや、もう、僕らは若くないんだ。IKEAに行って、うれしそうな顔をして歩き回る年ではないのだ、としみじみ痛感した。いや、疲れた。